2011年度石川賞受賞者

受賞者

澤田康幸氏(東京大学・教授)

受賞理由

澤田康幸氏は、応用ミクロ計量経済学の分野、具体的には、教育、政府開発援助、貧困問題に関する実証研究において、政策インプリケーションに富む優れた成果を精力的に公刊してきた。最近では、災害の経済学や自殺の経済学といった分野にも、研究分野を広げている。澤田氏の研究の特色は、注意深く構築したミクロデータベースに対して、最先端の計量経済学的手法を適応しながら、理論的な仮説を検定するとともに、豊かな政策インプリケーションを導き出しているところにある。

質量ともに優れた業績の中でも、氏の実証研究の特色が鮮やかに表れている論文は、Jimenez, Emmanuel and Yasuyuki Sawada (1999)"Do Community Managed Schools Work?: An Evaluation of El Salvador's EDUCO Program,"World Bank Economic Review 13 (3), 1999である。本論文は、エルサルバドルの初等教育分権化政策を厳密に評価したものであるが、発展途上国の教育政策に関する基本文献として、代表的なサーベイ論文、国際的な講演、国際的な政策誌に頻繁に引用されてきた。

近年では、自然災害や金融危機が家計の消費行動に与える影響について、ミクロデータを用いた実証研究が、Journal of Money, Credit, and Bankingをはじめとした代表的フィールド・ジャーナルに採択されている。澤田氏は、国際的な共同研究プロジェクトにも積極的に参加し、Keijiro Otsuka, Jonna P. Estudillo, and Yasuyuki Sawada, eds., Rural Poverty and Income Dynamics in Asia and Africa, Routledge, 2009をはじめとした研究書に研究成果を発表している。邦文研究書でも、園部哲史との共編である『市場と経済発展:途上国における貧困削減に向けて』(東洋経済新報社、2006年)はじめとして優れた著作を出版してきた。

2011年度日本経済学会・石川賞選考委員会は、以上の研究業績を踏まえて澤田康幸氏を受賞候補者として決定した。

第6回石川賞選考委員会

  • 井堀利宏(東京大学)
  • 小川一夫(大阪大学)
  • 委員長 齊藤 誠(一橋大学)
  • 深尾京司(一橋大学)
  • 福田慎一(東京大学)

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