2007年度石川賞受賞者

受賞者

齊藤誠氏(一橋大学・教授)

受賞理由

齊藤誠氏は、マクロ経済、金融の分野で理論、実証、政策の3分野にバランスのとれた研究を行ってきた。専門化の進んだ経済学において、このようなバランスのとれた業績を出すことは容易ではなく、主として実証・政策の分野で優れた実績を挙げた経済学への賞である石川賞においても、理論の貢献もなされているということは特筆すべきだし、賞の目的をいささかも汚すものではない。

齊藤氏は金融取引の制約、保険市場が不完備、といった状況下において、資産価格がどのように決定するのかを分析した。特に資産価格形成や資源配分と、所得・資産分配との間の相互依存関係や、その動学的推移を簡単な理論モデルで解明し、完備市場からの乖離に基きながら資産価格による厚生評価、そしてマクロ経済の評価を提示している。政策評価に役立つ貢献と言える。

様々な金融リスク、金融政策ショック、自然災害リスク、所得や健康のリスクにおいて、日本のデータを用いながら、個票データによる計量経済分析手法や時系列分析方法を応用しながら、資産価格理論やその他のリスク決定論を検証している。これら金融、自然災害、社会保障といった諸分野の実証を通じて政策的含意を導出し、望ましい政策のあり方を提言している。厳密な理論と科学的実証に裏付けられた政策論議には、信頼性の高さがある。

学問的な活動に対して、既に日経・経済図書文化賞を受賞しているので、高い評価が与えられている。教育に関してもマクロ経済、金融の分野において、多くの読者を招いた教科書を出版している。政策に関しても時折経済政策の提言を行っている。学会活動においても常任理事として活躍している。このようにバランスのとれた齊藤誠氏は、石川賞の受賞に値するものである。

第2回石川賞選考委員会

  • 金本良嗣(東京大学)
  • 委員長 橘木俊詔(京都大学)
  • 本多佑三(大阪大学)
  • 森棟公夫(京都大学)

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